message

2008.01.13

ちょっとそこまで

 昨年のオフに屋久島の宮之浦岳というところに登ってから、山登りにはまっています。山登りというのは、人によっては無益な行動に人によってはかけがえのない時間に、頂に立った時の感動はそこに至るまでの道のりの困難さに比例するという、私の競技観とすごく似ています。それで山登りにはまるようになりました。  

 ある山に登った時です。そこからは奥秩父が全部見渡せるという、日本百名山に数えられるほどの名山に挑戦ました。山頂まで、二人未経験者を連れていたので5時間ほど、1600mから2500mまで一気に昇りました。

 途中岩肌が露出する場所もあり、右に一歩進めば断崖絶壁、左に進めば200mほどの急斜面、歩く幅は2mほどという場所があり、なかなかハードな場面もありました。時期的に、11月の半ばだった事もあり、山頂は雪が降っていて、極寒。さらに超強風のためほとんど話していることが聞き取れないという状況です。

 そんな中でなぜか出産おめでとうコメントを取りましたが、5分とその場にいる事ができずとりあえず少し下の小屋で休もうという事になりました。小屋までは徒歩で20分ほどです。

 何とか小屋に辿り着いて、中に入ってみると明らかに人が住んでいる気配がします。使いたてのウインドブレーカーは干してあるし、やかんも火の消えたストーブにかけたままです。おまけに机の上に食べかけのスナック菓子まで。

 ですが、部屋の奥に向かって呼べども呼べども人が出てきません。どうもどこかに出かけているようでした。きちんとお話をしてからというわけにはいかなそうなぐらい凍えそうだったので、そのまま小屋で休ませてもらう事にしました。

 持ってきたガスで火をつけてお湯を沸かしている時に、ふと外の気温を見るとマイナス10度。そりゃ凍えそうになるわけです。何とか一休みできた事に感謝しながら、部屋でカップラーメンを食べました。『こんなにうまいカップラーメンは初めて食べた』とは、一緒に来ていた二人の感想です。まだご主人は帰ってきません。

 少し話をしているうちに、気がつけばもう帰らなければ下山できないぐらいの時間になりました。一度ぐらいここのご主人に会ってお礼を言いたかったのですが、仕方ありません。しぶしぶ部屋を出る事にし、帰りの準備を始めました。

 大方帰りの準備が済み、休憩代を置いていくことにしました。それから外に出ようとしたその時にふと小さな黒板が目に入りました。何か書いてあります。字は、ここのご主人のもののようです。なんて書いてあるかちょっと読めません。近くに寄ってみました。字が見えるところまで近づいてみると、そこには

『ちょっと買い物にでかけてきます』

『すごい人がいるもんだよね』極寒の山頂までの5時間の道のりを思って、心底そういう感想が出てきて、小屋を後にしました。私たちが下山してから一週間後ぐらいに雪が積もったそうです。主はどこで冬を過ごすのでしょうか。

2008.01.13 | 固定リンク | コメント (17) | トラックバック (0)

Comment

テーマと関係のないコメントは削除させていただきます。

一番最近山に登った記憶はNZのどこかの山へ3年ほど前に登ったのがラストです・・・。
そんなに高い山ではなく景色を楽しみながら登れる程度だったのですが軽くへこたれたのを覚えています(笑)
為末さんは山登りお好きなんですね☆
極寒の中、小屋でスナック菓子を食べている家主さんを一目見てみたいものです。。。
最近色んなすごい人の話を聞くことが多かったのですが日本にも色んな人が住んでいるのだと改めて思いました。
『出産おめでとう!!』のコメントをなぜ・・・なぜそこで(笑)
でも私が出産した本人だったら感動しそうです☆

投稿者: 麻衣 (Jan 13, 2008 2:08:09 PM)

すごいですね~そのご主人w
オリンピック選手の為末さんでも
しんどいのに、買い物って・・・
もしかしたらものすごく足が速かったりしてw

投稿者: まさひろ (Jan 13, 2008 3:24:15 PM)

屋久島、、、行きました。 4年前ですが、、、
折れても折れても懸命に成長する姿。
栄養が豊富とはいえない土壌での懸命の成長。
樹齢2000年(推定)程度では名前さえ付けてもらえない杉。
まだまだ巨木があるとの噂。
凄い、面白い、奥が深い、魅力的な島です。
修行が足りんよ、、、若造、、、と言われている様で。。。


投稿者: WING (Jan 13, 2008 3:39:33 PM)

屋久島は世界遺産になっていますね。

芸能人の方で同じ様に屋久島に息子さんと行かれたと前にTVで見ました。

山は神の住む所とされ霊験新たかなイメージです。

山は山に住む人の尺度があるんですね??

面白いです。(~_~)

投稿者: ムータン (Jan 13, 2008 5:32:33 PM)

本当、すごい所で「出産おめでとう」ですね。ともに頑張った感があり、手を握り合っていた気がするかも…です。
しかし、その小屋の住民はただ者ではないですねぇ。
でも為末さんもそこに属すると思いますよ。

投稿者: ちえ (Jan 13, 2008 8:04:27 PM)

極寒の山中から
『ちょっと買い物にでかけてきます』
って黒板に書き残して
山小屋を留守にする主人カッコイイですね(→∀←。)ノ♥
きっと『ちょっと』どころじゃないのに…

投稿者: とも (Jan 13, 2008 9:25:41 PM)

為末さん、こんばんは☆タイ合宿は順調ですか?
 「ちょっと、そこまで~♪」の気分では到底なさそうですね!
でも負けずと為末さんもスリルな登山されるのですね☆
そこに住まれている方が大変な思いで確保した食料は、一杯のお茶でも何にも入ってないおにぎりでも私たちが感じるより数倍美味しく感じるでしょうね。
 そんな境地にたったことがないから思うのかもしれませんが、無人島や山奥での生活にちょっと惹かれます。
為末さん!ツアーくんでください(笑)一日で根を上げるかもしれませんが。。。でも、まず足腰の鍛えからですよねっ。

投稿者: nori (Jan 13, 2008 11:27:27 PM)

こんにちは。

山あいて、自然あいてだとそうなるのですかね。
ご主人のそのおおらかさ、素敵です。

私も高校時代、山ぶでした。
あまり大きな声ではいえませんが^^
冬山で、夜、お花をつみにいったときにみた
月明かりにてらされる冬山の悠然さと
ピンとすんだ空気の感じが
わすれられません。

もしかしたら今頃ご主人もそんな景色を。。

久方ぶりなのですが近くにいて折角なので
今年は六甲山にのぼってみようかと思っています。
麓の温泉につかるのもまた楽しみです。

温泉つきのちょうどよいコースですので
もしよかったら皆さんもどうぞ。

投稿者: chicchi (Jan 14, 2008 1:17:41 AM)

山は、最近行ってません。
山は、ゴールが、はっきりしているので、
計画をたてて、困難に対処し、
達成感を、得られるところも、
魅力なのだろうと思います。
お正月のような、しんとした、空気と、
静けさが好きなので、アウトドアに、
熱中しようかと思ったこともありますが、
どこも、都会のように、都会の騒音が激しく、
迷いが、死につながるので、私一人でも、
生きていけないと思いました。
それに、私にとって、山などの、
アウトドアは、逃げになる。
一人きりじゃ、生きてけないし、
このままじゃだめだ。
ひととして、もっと、ひとを好きになろうと、
思ったからです。今は、都会にいて、
自然も、動物も、植物も好きでいながら、
昔よりはるかに、ひとを好きでいます。

投稿者: 4090 (Jan 14, 2008 11:34:43 AM)

為末さん、こんばんは。
合宿、如何ですか?

私は、大人になってから山登りをした事がありません。
ですが、メッセージを読んで苦労しながら山頂まで着いた時
に観る、素晴らしい景観と自分の精神状態を体感してみたくなりました。
自然の中に身を置くと、悩みや自分の小ささを感じますし…。

山登りはよく人生になぞらえてありますよね。
為末さん方が5時間もかけて登られた道中を『ちょっとそこまで』ですか…。
その主の方にお会いしたかった為末さんのお気持ちわかります。
ある意味、人生を『達観』されてあるのかもしれませんね。

では、暖かいタイでの合宿、頑張ってくださいね。
個人的には、為末さんのヨガのポーズが拝見したいです(笑)

投稿者: hiromi (Jan 14, 2008 10:52:58 PM)

ためすえさんこんにちは!山登り楽しそうですね♪
今日は京都市でも雪が降りました。山頂のご主人は大丈夫なのか心配です~
私は寒いのはあまり好きではないですが、屋久島には興味が凄くあります。宮崎アニメの影響でしょうか、妖精や神様がいそうな気がするのです。
でも行きたいと思いつつ実現できてないです(>_<)体鍛えて若いうちに行かないとですねー。

投稿者: jasmine (Jan 15, 2008 12:27:43 AM)

あけましておめでとうございます。
私は今までどっちかっていうと登山はいやだったんですが、昨年末から、妙に山が気になります。お正月、実家に帰っていたので、友人たちの元旦登山には参加できなかったんですが、それを機に、登山クラブ結成!となり、次回はぜひ、参加したいとおもってます。
何でかしらないけど、妙に、山が美しく見え、あの山に登りたい!とさえ思ってしまうほど。なんの心境の変化か・・・。

屋久島みたいに絶景の山には登れないと思いますが、私も今年は苦手で嫌いだった登山に挑戦しようと思ってます。

山は、すごい。うん。関西の山も雄大でした。

投稿者: 宇宙 (Jan 15, 2008 1:38:51 AM)

フフ、ご主人の『ちょっと~』凄いですね。
山の厳しさや美しさを知りつくしては、自然を味方に生きていらっしゃる方なんでしょうか。きっと時間の流れも自然の流れのようにゆっくり進んでいるのかも知れませんね。どこか呑気でのんびりしてそうな雰囲気が伺えます。フフ
それにしても、ほんとスリリングな山登りですね^^。困難な道を共に歩み5時間かけてようやく山頂に辿り着いた時、もう感動で胸がいっぱいでしょうね。わかるなぁ。。素敵です☆ほんと出産おめでとうございます☆です。フフ。
私も山登りが好きなだけど、険しい山は登ったことはないんです。おじいちゃんとおばあちゃんが山登りが大好きで昔よく一緒に登ってました。そんな山ね^^。最近は登っていませんけどね。印象に残ってる山登りのひとつに、高校3年生の秋に登った生駒山です。お互い進路のことで不安だらけの時だったかな、うっすらとしか見えない生駒の山をめがけて、大阪の中央大通りの車道をひたすら真っ直ぐ進んで行ったんです。自転車でね。ほんとひたすら真っ直ぐに。私が力つきて、途中、石切あたりで歩道にきりかえて休憩したりしてね。そして又ひたすら真っ直ぐに。山がどんどんはっきりと見えてきては、あともう少し、あともう少し・・とね。で4時間ぐらいでしょうか、やっと町と山の境目辺りに石でできた生駒の盾看板のようなもの(あれなんて言うんでしょうか、そんな感じのね。)を発見。そう、とうとう私達は生駒山に到着したんです。感動でした☆
そして、私はそのまま帰るものだと。そしたら友達は『ここまで来たんやから、頑張って山に登ってめ-へん?』と。(*_*)。びっくりしました。でも、ほんと折角ここまで来たし、よしっ、頑張るぞ、と私。山は至って緩やかな道で辺り一帯紅葉が茂っていてとても綺麗なんです、なんと道まで紅色なんですよ。てっきり紅葉が積もってるのかなと思ったんですが、違うんです。陽射しが紅葉に反射して道全体が紅色に染まってるんです。もうほんとに綺麗くてね。その道を紅道(アカミチ)と名付けたんです。これはおばあちゃんの真似なんです^^。おばあちゃんはよく山の道に名前を付けてたんでね。忘れないように覚え易い名前をね。~~~、

お身体には気を付けて合宿楽しんで頑張って下さいね☆


投稿者: karen-t☆ (Jan 15, 2008 1:39:00 AM)

山に登ったり、自然の中へ、行くことは、沢山いいこともあり、都会人にとっては、いいことずくめかもしれませんが、マナーもないほど、気軽に行くひとがいると、どうかなと思う。自然に求めるのではなく、都会であっても、自然を大切にする気持ちがほしいなと思うし、せっかく自然の中へ満喫しにいったなら、日常にも還元してほしいと思う。安易に癒しなど求め、人が殺到し、都会化していると思う。(里山という、人と自然の橋渡しをしていた場所が、もっと身近に昔はあったけど)
別な例を出すと、お坊さんが、山や、寺で修行しているけど、都会でだって、十分できるはずだと思っている。山や、寺で、修行して、得られても、日常に還元できなければ、それまでだ。意味無い。旅なども、日常を、ふかんしたり、日常にないものを、その感覚を得ることは、ときに必要ですが、これも、なんだかな。
よき古き日本の町のおばちゃんや、おじちゃんで、町から出たこと無い人でさえ、すごいひとは、今よりいただろうことは、なんとなく、想像できます。職人でなくても、普通の人といわれる人でさえ。

投稿者: 4090 (Jan 15, 2008 6:47:20 AM)

為末さん、こんにちは。タイでの合宿はどうですか?
ヨガ報告も聞かせてくださいね。

屋久島、一度は行ってみたいですね。
登山というと・・・最近では筑波山くらいです。登山ではないか。笑 面白い体験談をお持ちの為末さん企画の山登りツアー、いつか実現してくださいね!!

投稿者: さえ (Jan 15, 2008 10:11:30 AM)

~~~、紅道を歩くこと2~3時間ほどでしょうか、ようやく山頂に辿り着きました。感動はもちろんのこと、なぜかとても不思議な気分がしました。
自分たちがやってきた方向を眺めながら、あのうっすらとしか見えなかった山に、今こうしてその山の頂にいるんだなぁと、どこか感慨深さの方が強かったのかもしれません。
かすかに見える広がり渡った都会の町を見渡しながらね。
その頃、抱えた不安な気持ちはどこかに消えては、希望に満ち溢れながら山を下りて行ったのを今でも覚えています。
帰りは自転車を置いて、電車で帰りました。
暗くなってきたのでね。
次の週末に自転車をとりに電車で行ったんですね、でも自転車がなかったの。どこを探しても自転車は見つかりませんでした(>_<)
恐らく、停めてはいけないところに停めたからだと思うんです。
歩いて帰ろ、と言われた時はさすがに断りました^^お山にちなんだ青春の一ペ-ジのお話でした☆
チャンチャン。

つい、ごめんなさい☆

タイ合宿頑張ってね☆
私も仕事さぼらないで頑張ります。^^
さてと、お仕事、お仕事。


投稿者: karen-t☆ (Jan 15, 2008 11:15:20 AM)

 為末さん、おはようございます。
 屋久島に行かれたんですねぇ。いいなぁ。私も大学生の時に推定樹齢7200年の縄文杉に会いに行こう計画を立てましたが、旅行費用を貯めることができず、断念。残念ながらいまだ実現に到っていません。この前テレビで屋久島特集をしていましたが、テレビ画面を通してでもあの迫力にあの感動!!また気持ちが膨らんできています。何千年も前にこの世に誕生して、長い時間をかけて育っていき、今もなお生き続ける。同じ空間に立てた時、今は想像つきませんが、自分がどう感じて何を思うのかを考えると楽しみです。
 小屋のご主人の『ちょっと買い物にでかけてきます』この言葉好きだなぁと思いました。私の想像ですが、為末さんたちのような登山客が立ち寄れる場所として小屋があるんじゃないかなぁというか、あったらステキだなぁと思いました。なのでご主人の言葉は為末さんたちに向けて『自由にくつろいでくださいね。』のような気持ちが括弧書きではあったんではないかと。心暖まります。でも実際どんな方なのかとっても気になりますね。
 私も山の色がきれいな時などに山登りをすることはありますが、為末さんのお話を聞いていて、私のは山登り??と少し疑問が湧いてきています(笑)途中、断崖絶壁が出現とは想像するだけで鳥肌がたちますよ。それでも前に進んでいる所が、う~すごい。ここまでハードな山登りは体がついていかないですが、ソフト山登り(?)にご一緒できたら嬉しいものです。

投稿者: 茜 (Jan 15, 2008 12:09:06 PM)

Track Back

この記事のトラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95993/17335546 こちらのトラックバックのお約束をお読みの上、ご投稿お願い致します。

この記事へのトラックバック一覧です: ちょっとそこまで:

コメントを書く


※メールアドレスは外部には公開されません



個人情報の利用目的