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2006.05.10

ハードルを跳ばない理由(前編)

 今年はハードル無しでシーズンを過ごそうと考えています。なので、走る種目だけに出場していく予定です。100m、200m、400mなど。この事は昨年からいろんなところで報道されていたので、私としてはそれで十分だと思っていたのですが、よく考えてみればハードルを跳ばない理由を説明するのを忘れてました。友人から、ハードルを跳びませんという報道を見て、引退したのかという質問がきてしまったものですので。

 後味がいい方が良いと思ったので、まずはデメリットの話から。
 ハードルを跳ばない一年があるという事は、技術の低下というのは無いと思うのですが、勘が鈍くなるというのは実際にあると思っています。さかもと未明さんが「漫画は一年書かないと一からやり直し」という話をされていたので、少なからず技術系の400mHにも同じような事が起こるのではないかと考えています。来年また少しずつ勘を取り戻していかなければいけなくなるでしょう。これがデメリットの一つ目。

 それからワールドランキングというのは、一年間の試合でのポイントを合計して算出されています。つまり一年間ハードルを跳ばないということはポイントが0になって、ランキング外の昔の下積み状態から始めねばなりません。これがデメリットの二つ目。

 特殊な事をしていると、普通ではアンバランスといわれるところでバランスよく成り立つようになります。例えばテニス選手のラケットを持つほうの腕が長くなってしまうように、片方に偏っている状態がバランスよかったりするわけです。そういう意味でハードルを跳んでいる私もおそらくアンバランスなポジションでしたでしょうから、これから走る事ばかりやって、左右対称にバランスよくしていくということは、バランスよいアンバランスになってしまう可能性があるわけです。つまりバランスよくなることで実力低下するかもしれないわけです。デメリットの三つ目。

 それから私の種目はハードル間が35mと規定されています。35mの間を何歩で走ってもいいのですが、当然13.5歩などは不可能ですので、ギアが一つずつ上げ下げするように段階的に歩幅を広げ縮めしないといけないわけです。私はこれまでハードル用に自分の体をプログラミングしてきていて、歩幅ももちろんいじってきました。この約9年かけてプログラムした私の歩幅が、今年一年、走る事だけをやっている間に元に戻ってしまうリスクがあるわけです。これがデメリットの四つ目。

 以上の四つがデメリットの方の話です。 

2006.05.10 | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (0)

Comment

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4つのデメリットがあるかもしれなくても、
それを上回るかもしれない可能性に挑戦するんですね!
後編、楽しみにしています。。。

投稿者: ゆきだよー。 (May 10, 2006 7:14:08 PM)

後半が楽しみー。

投稿者: jeremy (May 10, 2006 8:07:33 PM)

デメリットからメリットへの変換。
後編を楽しみにしてます。

投稿者: SHOTA (May 10, 2006 8:20:25 PM)

むむ!

すごく続きが読みたい。メリットが気になります。
文章書くのうまいなぁ。

投稿者: malimo (May 10, 2006 9:36:46 PM)

この前の大阪国際グランプリお疲れ様でした。
初めて競技場で、為末さんのスタートとゴールに
近い位置で観戦することができました。
「なぜハードルを跳ばないんですか?」って
この試合後のインタビューでも質問されてましたよね。

このブログに書かれてあるこんなふうな背景があって「ハードルを跳ばない1年」を設定しているなんて、
インタビューや報道だけでは絶対に理解できなかったです。
ブログがあって為末さんの思いを知れる・・・素敵なことですよね~。どんどん為末さんの魅力にはまっていってます♪
後編楽しみにしています★

投稿者: snowleaf (May 10, 2006 10:48:26 PM)

デメリット1、私自身とても気になっていただけに為末さんがこのようにデメリットのお話されると違う意味でホッとしました。そしてなぜか覚悟のような気合いも入りました。(ほんとなんで私が・・デス)
それにしても前におっしゃってた「手段の目的化」、かなり奥が深いですね。
「知られざる手段の目的化」と言うんでしょうか、いや「手段の目的化の実体?」はたまた「手段の目的化の後退化の対策化」ん?「手段の目的化の真実と挑戦」「手段の目的化の・・デテコナイ・・」あぁ~なんでもいいです。
はやく後半聞きたいなぁ。
頑張って下さいね。

投稿者: reset (May 11, 2006 2:16:45 PM)

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